急いで書き上げる羽目になったので、後で補足説明入れるかもだ。暫定版です。

さて、本Blogは図書館活用Blogなので図書館界隈にまつわる様々な話題に食いつく訳だが、割と初期から一貫して批判している問題として、TSUTAYA図書館におけるT-Pointカードの採用というのがある。反TSUTAYA図書館界隈でもいくつかの方向性でこの問題に対して批判を加えているのだが、私の観測範囲の中ではセキュリティークラスタの御大将高木先生(愛称 ひろみちゅ先生)の薫陶もあってか、プライバシーとかセキュリティー方面からの批判を多く見かける。
各人の問題意識は一様ではないのでその様な視点からの批判もアリだとは思うが、私は割と「望んでCCCに個人情報提出する人は(かなり分かりにくくカモフラージュされているとしても)自己責任で情報渡してるんだから、それはそれでいいんじゃないか」的な考えを持っていたりもする。そこで、私が何故にT-Pointシステムを図書館に導入する事に反対しているかを、少し書き出してみようと思うのだ。

1.分かりやすく単純化し、模式化してみよう
ある図書館で利用者が何か図書館の為になる事をしてくれたらお礼をしたいという提案が出たとする。そこで愉快なおじさんが、市域内にある有名スーパーAの金券配ったらどうかと言い出した。金券とはいえ額面は10円以下。本当に「ちょっとしたお礼」に過ぎない。図書館費でこの金券を購入し、配布したとしたらどうだろうか?
一見、少額だしいいんじゃないのと思わないでもないが…これ、税金を利用して特定のスーパーAの利用を高める施策になっちゃいますよね? 余り有名ではないが個人経営で頑張ってる八百BさんとかマルCツの店長とか怒っちゃいますわ。なんで市民の税金で特定企業の客寄せを手伝うのか。

T-Pointは確かに発行枚数が多いかもしれない。色々なお店で使えるかもしれない。だけどそれはT-Pointプログラムというシステムに加入し、ポイント原資を支払ってる企業でしか使えない限定的な物ではあるが「公正価値」である。その価値を付与することで利用者に対して特定店舗(群)への誘導を行うと言い換えてもいい。(ナナコ持ってればナナコ使えるセブンイレブン行った方が得だし、ポイントがあればそのポイントを使いたくなるからセブンイレブンに行き、ついつい余計な物まで買ってしまうのがポイントカードの目論見である)

公共施設が、特定企業への利益誘導しちゃぁ、ダメだろう。
2.原資はどこだ?
この間岡山の高梁市でTSUTAYA図書館がオープンしたのだが、オープン前に市の担当者は「Tポイントカードは採用しない」と市議会で答弁していたのにも関わらず、開店してみたらT-ポイントカードが採用されててびっくりした、なんてニュースが出ていた。
実際にその記事を読んで確認してみて欲しいのだが、結局導入した教育委員会の次長がなかなか教育委員会の人間とは思えないような支離滅裂な答弁を重ねているのである。
次長の説明になっていないような説明では、自動貸し出し機を利用してくれてありがたいからポイント還元なんだそうな。自動貸し出し機って便利だから使って貰えるのではないんだ。へー(棒)

この茶番劇では「人員の省力化の為に自動貸し出し機を導入し、その省力化に協力して貰えるからポイントを渡す」なんだそうで。
勝手に人員省力化して採算性を高めるのは構わないが、その上なんでTポイントを配布してTカード提携企業への顧客誘導とか図書館がやらねばならないのか? そのポイント原資はCCC側が負担すると言っているらしいが、ポイント要らないからその分受託金額値引きしろって話ですよね。
ポイントで釣って自動貸し出し機に誘導するのではなく、利便性を高めて「こっちの方が楽だし便利だから」使って貰うようにすべきなんじゃないですかね文化的便利さクラブ(CCC)さん!

と、こんだけ執拗に書いているが、実は上記のネタは本題ではない。
結局ポイントを渡すに際して原資はどこから出ているのかというのが問題なのだ。
CCCと教育委員会側の答弁では、原資の負担はCCC側であるという。しかしその原資の振込先はT-Pointの管理を行っているCCCの関連企業ではないのか。そも、CCCは定額で図書館の運営を受託している企業であり、それが勝手に運営効率化を狙って自動貸し出し機を入れているのだから、この時点で委託費用は削減されるべきであろう。当初計画時の見積もり(当然市側に保管されているだろう)と、導入時の見積もりを提示させるべきである。というか、予算執行の問題あるから金額変更になったら議会諮問するのが普通なのでは…?
この辺のプロセスが透明化されない限り、どんぶり勘定で委託分の金渡して、その金の中でポイントシステムやってるんじゃないかと言われても仕方があるまい。
で、T-Pointって1Pを顧客に渡すのに負担金は1円じゃないのね。今さっきGoogleで検索したらYahooのネットショップの話が出てたんだけど、昨年4月1日から1P付与するために2.5円負担する様に規約変更しますとか書かれてんの。1P発行する毎にソフトバンクを通して(?)1.5Pが管理会社とかに中間搾取されると。
まぁ、高梁市の年間貸し出し冊数は2015年実績で55000冊なんで、一冊借りるごとに1P払っても支払総額は55000円。支払い原資は13万7500円(Yahooと同じ負担割合の場合)大した事にはなるまい…なんかオープン数日で昨年の年間来場者数を超えたって話を見たような気もするが、仮に10倍になっても137万5000円。CCCに支払ってる金額から考えたら微々たるものだ。(なお、高梁市の2013年度決算を見ると、図書費は549万9000円…ざっくりとこれまでの年間資料費の1/4がポイント原資になるとゆー…)
もし仮に本当に私心無くありがとうの気持ちでポイント還元をするのであれば、還元するポイントを選ばせて欲しい。私のように思想信条の問題からT-Pointカードを持たない人もいるのだ。ポンタかナナコ、PASMOやSUICAで還元してもらいたいものである。その場合CCC側は各ポイントシステム運用会社に原資を支払う事になるが、先の1項の問題は多少緩和されるだろう(ポイントシステム入れてない所に対する不義理は続くけれども)

3.ポイントシステム悪用されない?
以前、図書館の委託管理会社が書籍貸し出し数を水増しするために図書館員に本を貸し出させ、そのまま読みもせずに返却する手続きを繰り返して貸し出し実績を水増ししたなんて話があった。この時は運営受託会社の実績の水増しに貸し出し数が悪用されたわけだけども、ポイントシステムを貸し出しに連動させることで、子どもが面白半分に毎日本を借りる手続きをして、そのまま返却するというイタズラする可能性は無いのだろうか?
カウンターで有人貸し出しなら頻繁に来る子を見分ける事もできるだろう。しかし、自動貸し出しシステムではどうか?
また、発行ポイントはある一定年月で消滅するのが常である。何故一定期限になるかというと、財務会計上の問題なんだろうが(発行時点で債務になり、ポイント利用時点で売り上げになる。無限期間ポイントを貯められるようになると、債務が青天井になる可能性がある)
つまり、本来はポイントとして還元されるはずだったものと原資が、ある一定期間経過後はまるまるT-Point運営側の売り上げになってしまうのだ。逆に言えば、なんかテキトーなT-カードを作成し、毎日のように本を借りたことにして「図書館としては貸し出し冊数実績を作り」、そのままポイントを失効させれば、遅くとも失効年度の期末には積み立てた負債をまるまるカード運営会社が売り上げ経常出来てしまう。
他にもいくつかポイントカードシステムを悪用した細かい金の集め方はあると思うのだが、あまり書いてそれを実際CCCにやられてもたまらないのでこの辺にしておく。

私企業が自分で仲間を募ってやる分には構わないが、ざっと上記の3つぐらいの問題点がある。しかもこれは「私が気にする公共図書館としての機能との齟齬」であって、セキュリティクラスタはセキュリティークラスタでまた別の問題点を指摘するだろうし、行政監査クラスタはその手続き上の問題をこれまた独自に指摘するだろう。私の指摘は一番単純で一番わかりやすい所だけかもしれない。