さて、いつも私はある特定の図書館(CCC運営の)を観察する時に、同規模都市の図書館を比較対象として取り上げて、2者の年次変化を見たりすることが多い。突如武雄のアレと比較される対象となった赤穂市の図書館、今回海老名と比較される事になった朝霞市の図書館におかれては、平々凡々と普通に、そして着実に運営されてるのに変な意味で目立せてしまって大変申し訳ねーなー等と思うのであるが、これも一つ運命だと思い諦めて戴きたい。

んでだ。
朝霞市を選んだのは埼玉県内でここの所発展が著しい都市であり、海老名市と奉仕人口が同規模であり、その辺に知り合いがいたんで多少は土地勘があるという割と単純な理由だったりする。
が、2001年から2015年度までの「図書館予算(請求金額)」の累計は海老名24億3000万円に対して朝霞が24億1000万円であり、請求予算の累計額もほぼ同じなのであった。

で、いつも通り「日本の図書館 統計と名簿」をずらーっと積み上げてチェックしてる自治体の図書館統計データをまとめてみたのだが・・・・朝霞のデータがなんかおかしい。
受け入れ冊数が47564冊もありながら購入冊数が9160冊しかない(38000冊もどっかから寄贈されたのか?)なんかはまだ良い方で、貸し出し冊数はそんなに変化がない(微減)なのに貸し出し登録者数が前年9万人いたのに今年は4800人しかいないとかの異次元の数字なのである。そもそも空欄が多い。

なんじゃいこら?と思い、たまたま仕事の予定が空いたのでふらっと行ってみたんですよ、朝霞の本館。img_16521言うてはナンだが外見はふつーの図書館である。朝霞駅からちょっと離れた場所にひっそり佇み、それでいて平日朝から開館を待ち望む人が散見される図書館である。それもそのはず図書館費という図書館運営予算は先にも挙げたがこの15年累計で海老名とほぼ同額だが、中身(つまり書籍や資料)にかけている予算は段違いなのである。2001~2015年度予算の累計金額は海老名が4億1813万円に対して朝霞が6億7162万円ぐらいで1.5倍以上のコストをかけているのである。資料費を潤沢に使ってるんだから、人件費とか超削ってるんだろうな…などと思ったが、海老名がCCCとTRCに業務委託して職員40人を全て派遣に切り替えたのに対して、朝霞は今現在職員全員市の直接雇用、専任21人(うち司書15人)、非常勤27で合計人数さえ海老名を上回っている。もちろんカフェ等を併設しているわけではないので全員フルに図書館の仕事をしているのである。

多分こっちの方が「正しい図書館の在り方」の様な気もしなくはないが、CCC系の図書館を見ていると随分と新鮮に映りますネ!

図書館の中の写真は色々肖像権的にアレなので撮ってこなかったが、良く言えば大変にすっきりとした…悪意を以て言えばスッカスカに見えなくもない。まずは書架の様子を見ようと図書館関係の棚を見ようとしたら慣れてないもんだから良く分からぬ。うろうろしてたらカウンターの中の人から「何かお探しですか?」と声かけられた。別に隠すもんでも無いので「図書館関係の棚見たいのと、朝霞の図書館の統計資料探してます」と伝えたところ、棚に案内してもらってその後職員の詳しいものをお呼びしますと言って貰えた。その際に市外の者であり川口から来ましたゆーたら川口図書館の手の者と誤解されて大変狼狽したである。
ご存知の方はご存知の通り私は川口の一般の市民で別に図書館関係者ではないのである。しかし朝霞までそんなこと確認しに行くようなそんな市民がいるとは普通考えまい。

で、棚を見る。年中川口市の中央図書館の図書館関係棚を見ているので、どんな本がそこにあるべきか、定番はどの辺でこの辺は見たことねーな…というサンプル調査がし易いのだ。外国の取り組みや浦安図書館関係、司書の皆さんに役立つ本…この辺は充実していると思う。ググるやIT関係の書籍も割合としては厚い。職員さんは「随分降ろしてしまっているので…」と入りきらないので閉架書庫へ持ってってんですよオーラを出していたが、入りきらない本が並んだ本の上にちょこんと、横置きされてしまうぐらい本棚は混雑している。実際蔵書数に関しては奉仕人口13万2000人の割に奉仕人口15万4000人の小牧に匹敵するぐらいなのである。(なお、朝霞は本館1 分館1だが、小牧は本館1 分館3の構成である)
本来はこんなに本があるのだからもう少し本棚の背を高くしてもいいんじゃないかと思わなくもないが、必ずしも図書資料を前に出しても利便性が増すとは限らないのだ。逆に数多の資料の中から「これを前に出そう」という選択というのは大変に難しいものではある。何も考えずに開架にする方が頭使わなくて良いという見方もできる。

次に図書館統計資料の精査に移った。職員さんが一人ついてくれて、先に川口の図書館でまとめたデータを見せつつ疑問を聞く。
すると現地で出してる図書館資料や裏の方に眠ってる統計資料、その他諸々を出して虫食い部分を埋めることができるのだが、計数の仕方等が異なる為か私の見ている全国統計の数値と乖離している部分がボロボロ見つかる(例えば、定期刊行物(雑誌)の除籍は除籍カウントに含めないのではないか的な差異があちこちに噴出する)
それらの不整合を含めて統計資料のまとめを出してみよう。

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2001~2002年度は統計資料の調査項目がそれ以降と変わっているので空欄が多い。中に幾つかマークされた年があるが、そのマークの意味は以下のようになっている。
2003年度 予算削減開始 一部業務を委託
2006年度 議員から業務委託どうなの? いいの? 質問あり。この後委託解消に動く
2013年度 決算額は2011年度のもの。地震の影響か

この朝霞においても図書館予算削減の動きはあった。その際に派遣委託を一部導入したのだが、割とどこでもよく見られる「派遣社員にちょっとしたお願いするのも直接行うことができない(派遣会社に連絡してどーこー)」問題が噴出したのと、市議会で「業務委託するのは、どーか?」という疑義が出て直接雇用に切り替えたそうである。
数値見てると予算を減らされつつも図書費はなんとか一定水準以上を保とうとする傾向が見て取れる(予算額と決算額に注目して見てみよう!)

昨今図書館界隈でコスト削減だのなんだのの嵐が巻き起こっているが、十年数十年かけて作ってきた蔵書は市民の貴重な財産である。ある時からふっと思い立って蔵書を充実させようと思ってもそれを何年も続けなければ実際に豊かなコレクションは作り上げることができないのだ。中で働く人にしても同じであろう。
それを壊すのは4~5年で出来る。

たまたま行った朝霞の図書館であったが、今まさに岐路に立たされていると言っても過言ではない。
是非とも先に挙げた海老名の資料と朝霞の資料を比較検討して戴き、朝霞の図書館人がいかに高邁な志を掲げて図書館を運営してきたか、同じ予算使っても使い方が不味ければ図書館は陳腐化し、市民から期待されなくなってしまう(そしてその後は悪いローテーションに入って「無駄金使う」方向に転換する)という点を朝霞の議会の皆様にお伝えしたい。ここまで充実してるのに金をケチり始めるのはもったいないですよ、マジな話。

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