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散々Twitterで意識高いたかーいとかやってしもたので、六本木ヒルズに行ったときに北斗残悔拳くらって49階から転落させられることのない様に、一回「昔読んだデータ」を再編してアカデミーヒルズの話をまとめておこう。

読んだ本
図書館はコミュニティ創出の「場」
会員制ライブラリーの挑戦

小林麻実 著
アカデミーヒルズ六本木ライブラリー

版元 : 勉誠出版

アカデミーヒルズ六本木ライブラリー
2003年4月25日開設

元々アークヒルズで森ビルが行っていた社会人向け勉強会がアカデミーヒルズの前身(というか、それが起点)、社会人向け勉強会を進めるうちに「勉強会の前に自習できる部屋が欲しい」という事で、教室用の会議室を時間貸しするようなビジネスがアカデミーヒルズ(当時はアーク都市塾)の業務に取り込まれていった。

で。

小林麻実氏は1990年代から図書館のコア部分を「前の世代に生きていた人が考えていたことを知り、現在自分と一緒に生きている同時代の他の人々が自分の経験や知識を他の人と分かち合うという事が、実質的になされてきたことであろう。そのような情報や知の交換を誰もが日常的に行うことができるということがまさに図書館の基本的役割である」 (P.13-14)と規定し、そこから図書館計画を組み立てる。
「図書館の本質は知の交流と創造にある。本が無くともライブラリーは役立つ」(P.15 1999年 週刊ダイヤモンドに寄稿)

2002年後半、半年後に開店する予定の六本木ヒルズライブラリーの詳細はまるで決まっていなかった。企業向け貸会議室を作ろうとか、廊下に書架を置いて知の森みたいにしようなどの「まんが」はあったようだがコンセプトが不在のままだった。そこに放り込まれたのが小林氏であり、氏の掲げたコンセプトが六本木ヒルズライブラリーの根幹を作り上げていく。

1.RFIDの件。
最初期から実験する前提で話が進んでいた(Twitterで誤報を流してしまった・・・・orz) しかし小林氏は「本の貸し出しはしない。借りたいならむしろ本を買ってくれ」という指針を打ち出してしまっており、そこの調整で苦労した模様。前出の通りこのライブラリー内での「本」とはライブラリー会員というSNSの共有財産であるのだから、ひと時といえども個人占有するならむしろ買えと。そうする事で書架の中の本を常に新しくでいるという効能が出る・・・・が、それなら別にRFID要らない・・・・悩むよな!
結果的にRFID使ってるが、やはり買い取りであって貸し出しはしないライブラリーになった。

2.六本木ヒルズの高層階に富裕層向けの図書館作ったら何言われるか
元々は高齢の年金生活者をターゲットにしてたみたいだが、下手に六本木ヒルズで富裕層向けの図書館をやったら間違いなく袋叩きになる・・・慧眼である(笑) でも、無料にしたら景観が良いからそれを求めて押し寄せる連中が大多数になり、コンセプトに合致しない。また、図書館を有料にしたら求める本が必ずそこに無いと「顧客満足度0である」
有料図書館にする以上、図書館法から外れるから図書館としての優遇措置を受けることもできず、著作権の使用料を支払わなければならない。なので複写や貸し出ししたければ買えという論法に落ち着いた。要するに「立ち読みどころか座り読みもできる書店」の扱いにして著作権問題を回避すると。
その他、様々な「図書館としてはどうか」の問題指摘や難癖を排除する為に、あえて図書館ではなく「ライブラリー」を名乗ることにした。

3.利用者の件
富裕層の老人向けではなく、フリーランスや会社という属性を離れた「個としての社会人」を相手にすることに。終身雇用制の崩れた今、各人が生き抜くためには個としての他との繋がり・・・・会社の看板外した瞬間から利用できなくなる「繋がり」ではなく、個人のコネクションを育て、相互に互助し合えるネットワークを構築したいとの考え。この思想は蔵書構築にも影響を与え、どの分野に強いとか、どんな本があるかはパブリシティーとして使用できず、「組織を離れて個で働く人々に最適な本があります」という訳の分からない説明する羽目になり、結局この辺の文言はPRに使用でいなかったみたい。

4.飲食可能
図書館の中では飲み食い禁止だけど、家に持ち帰ったら飲み食いしながら読書できるのおかしくね? という疑問から、館内飲食可能にした。まぁギロッポンの49階からの夜景とか見たらワインぐらい飲みたくなるよね? という思惑もあり。

5.本の仕入れ
一般書店と同じように配本してもらえば最速で本並べられるのではないか? という事で取次に配本してもらう事に。装備とかその辺も後回しで。(まぁ、ブックカフェだよね)

6.子供禁止
20歳以上限定。大人がゆっくり本を読める場所にしたい。今の図書館は利用者を増やすとか数値的目標を達成するためにガキンチョ多く入れ過ぎ。大人の図書館を目指す・・・・
ざっくり32Pぐらいまでをまとめてみたが、どれも異質な発想からの提案なので中々省略しきれない。
総ページ数180ぐらいだからなんとここまでの説明は全体の1/6でしかないのだ。
ただし、ここまでの説明でも小林氏が「何を図書館の根本でありイデアであるか」を分析し、図書館に必要な要素を分解して「オリジナルの意味付け」をしてから再構築しなおし、六本木ヒルズライブラリーを作ったかは理解できるだろう。

この辺まで見ていると、「凄くまじめでデキる人が私立図書館作るとこうなる」というのが良く分かると思う。また・・・・本のあちこちに「どっかのできない人が似たような事を言っていた」様な気がするのは間違いではあるまい。恐らくだが、六本木ヒルズライブラリーを公共図書館にデチューンしたというか、私立図書館と公共の図書館の違いを理解せず、コンセプトに対する理解もいい加減で、「なんかあんな感じがオサレなんだろ」的な田舎のおじさん発想を具現化したできそこないが武雄のツタヤ図書館なんじゃないかと。汚損した書籍は買い取られるとかまんまこの本に書いてある。

本書は2009年11月2日に初版発行されている。

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